目標をアルコール消費量に設定すると、評価の指標として量的評価にのみ比重が置かれてしまうことが多くありますが、
改善していくことを考えると、最初から「質的評価」(直接観察)を実施できる体制を作っておかれることをお奨めします。
質的評価は誰にやってもらうといいのでしょう?
(事例1)リンクナースが評価する:
・教育しやすく正確な評価になりやすい反面、人によって理解が違うと、病棟ごとの違いが大きくなる。
・通常業務との兼務が難しい。
(事例2)病棟内のナース同士が評価しあう:
・お互いが欠点を指摘しあうため理解が進みやすい。
・通常業務にかかる負荷が公平になる。
・総意を得るのが難しい。(師長の采配次第?)
(事例3)結果が良くないナースが直接観察をする:
・新人さんなど、5モーメンツがよく分からない方がいたので、その方に直接観察をやってもらった。
自分で他者を評価する立場になり、理解が良く進んだ。
P:Plan
D:Do
C:Check
A:Act
つまり、計画→実行→チェック→改善をサイクルで回していきましょう、というビジネスの考え方です。
この実践編のストラテジーは、基本的にこのPDCAサイクルに則っているように見えると思います。目標や計画を立てるのがPlan、そのあとの結果分析→フィードバック→改善のポイントがCheckとActです。
簡単に「手指衛生遵守率改善」と一言で言っても、数多くの職員の皆さんの意識や行動を変えていくのは、とても大変なことです。それを実現させるには、しっかりした計画を立てて組織全体の理解を得るというのも重要ですが、もっとも大切なのは、実行してみてその結果を読み解き、どこに改善のポイントがあるのかを見つけ、それをまたフィードバックする、という「Check & Act」だと、私たちは考えています。
これから、うまく行った様々な事例をどんどん追加して、皆さんのPDCAサイクルがうまく回っていくように、お手伝いしていきたいと思っています。
各病棟に少なくとも一人ずつ、手洗いや5モーメントのことを熟知している人を配置すると、病棟に技術や考え方が伝わります。
(事例1)リンクナースが相互に模擬患者となってOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)を実施し、「手洗いマスター」のような存在をまず作る。
その人たちがそれぞれまた2人程度弟子を作れば病棟に一人マスターがいるようになる。
そして常にマスターとペアで組んで実践指導していくとうまく行くようになる。
(事例2)知識のあるICNが、患者さんの清拭とかおむつ交換などの時に、知識のない人と常にペアとなって一挙手一投足を教え込んだ。
●部屋の入口、ベッド脇等各所にボトルを配置する
●マイボトル制にする
マイボトル制にすることで遵守率が上がった施設も多い反面、飽きてくるとまた下がってしまった、という事例も聞きます。
皆さんの施設でも試してみてください。